ファッションの一部として楽しむバイク
ストリートバイクというカテゴリーに、厳密な定義はありません。
一般的には、ヤマハのSR400やTW、ホンダのFTRやRebel、カワサキの250TRといった、街中での走行をメインに想定された、シンプルでスタイリッシュなバイクたちを指す言葉として使われています。
スーパースポーツやアドベンチャーバイクが、速さや快適性といった機能・スペックを追求しているのに対し、ストリートバイクが最も大切にしているのはスタイルと感性です。
その最大の特徴は、無駄を削ぎ落としたシンプルな車体構成にあります。
多くのモデルが空冷単気筒や2気筒といったコンパクトなエンジンを搭載しており、メカニカルな造形美が剥き出しになっています。
このシンプルさは、カスタムのしやすさにも直結しており、ハンドル、シート、マフラー、灯火類などを自分好みに交換して、世界に一台だけのオリジナルマシンを作り上げるカスタムベースとしても絶大な人気を誇ります。
また、ガチガチのライディングウェアではなく、デニムやスニーカー、レザージャケットといった普段着に近いファッションで乗っても違和感がないのも大きな魅力です。
移動手段としてだけでなく、自分のライフスタイルやファッションを表現するアクセサリーのような感覚で付き合えるのが、ストリートバイクならではの立ち位置です。
ストリートバイクの魅力
軽量スリムな車体が生む扱いやすさ
ストリートバイクが初心者や女性ライダーからも支持される理由は、その圧倒的な扱いやすさにあります。
カウルなどの装飾が少ないため車重が軽く、車体もスリムに設計されていることが多いため、足つき性が良好なモデルがほとんどです。
信号待ちの多い都市部において、両足がしっかりと地面につくという安心感は何物にも代えがたいメリットです。
また、狭い路地でのUターンや、駐輪場での押し引き(取り回し)も苦にならず、自転車の延長線上にあるような気軽さで乗り出せます。
重いから出すのが億劫という心理的なハードルが低いため、通勤や通学、ちょっとした買い物など、日常の足として毎日のように乗る人には最適なパートナーとなります。
街乗りに特化したエンジンの特性
搭載されているエンジンも、街乗りに適したチューニングが施されています。
最高速や高回転域の伸びを競うのではなく、信号青での発進や、低速での追い越し加速といった日常でよく使う速度域で力強さを発揮するように設計されています。
単気筒エンジン特有の「トトトト」という鼓動感を感じながら、時速40km〜60km程度で流して走るのが最も気持ち良い瞬間です。
アクセルを回した分だけダイレクトに地面を蹴る感覚(トルク感)があり、渋滞の中や低速走行時でもエンストの不安が少なく、粘り強く走ってくれます。
ストリートを安全に楽しむための運転ポイント
見せる意識と見る意識
ストリートバイクは街中を走ることが多いため、ツーリングスポットとは違った注意が必要です。
交差点、横断歩道、路上駐車の陰からの飛び出しなど、都市部は危険がいっぱいです。
運転する際は、スピードを出して颯爽と駆け抜けることよりも、周りの交通の流れに乗ることを意識しましょう。
上体が起きたリラックスしたライディングポジションは、視界を広く保つのに適しています。
その利点を活かし、車の動きや歩行者の様子を常に観察しながら、かもしれない運転を心がけることが大切です。
また、ストリートバイクは古い年式のモデルも多く出回っており、最新のスポーツバイクに比べるとブレーキ性能やタイヤのグリップ力が穏やかな場合があります。
ABSがついていない車両に乗る場合は、急ブレーキでタイヤがロックしないよう、車間距離を十分に取り、早め早めの減速操作を行うことが鉄則です。
音とマナーで共存する
カスタムを楽しむ文化が根付いているストリートバイクですが、マフラー交換などを行う際は、音量やマナーへの配慮が不可欠です。
住宅街や繁華街を走る際、過度な排気音は周囲に不快感を与えるだけでなく、バイク全体のイメージダウンにもつながりかねません。
早朝や深夜の暖気運転を控えたり、人が多い場所では回転数を上げすぎないように走ったりと、カッコいいバイク乗りとして恥ずかしくない振る舞いを心がけることも、ストリートライダーに求められる重要なスキルです。
景色の一部として街に溶け込み、安全かつスマートに走り抜ける。
それこそが、ストリートバイクの最もクールな楽しみ方といえるでしょう。
